「もしも経営管理ビザが更新できなかったら…」
「家族との暮らしはどうなるのだろうか…」
2025年10月に、経営管理ビザ更新の条件(=許可基準/許可のルール)が改正されたことで、不安や心配をお持ちの方もおられるのではないでしょうか。
ご家族との大切な暮らしを守るためにも、ひとりで悩まず、まずは、経営管理ビザ更新の条件(=改正後の許可基準)を正しく知ることから始めてみませんか?
この記事では、
「すでに経営管理ビザを持っていて、これから更新を迎える方」に向けて
「経営管理ビザ更新の条件と必要な準備」について
やさしく解説します。
3分でチェック!~経営管理ビザ、自分は更新できる?~
「結局のところ、次の更新のとき、自分は経営管理ビザを更新できるのかな…?」
そんな疑問をお持ちの方は、次の8つの項目についてチェックしてみましょう。
3分で、簡単にチェックできますよ!

いかがだったでしょうか?チェックがつかなかった項目は、いくつありましたか?
なお、チェックがつかない項目があったとしても、すぐに「更新できない」という結論になるわけではありません。
なぜなら、経過措置(新しいルールに向けて準備するための期間や措置)が定められているため、一人ひとりの状況を詳しく見ないと、「更新できる/更新できない」の判断ができないからです。
では、チェックリストの各項目について、一緒に詳しくみていきましょう。
各項目についてすぐに知りたい方は、以下のリンクから確認できます。
2025年の改正で経営管理ビザ更新の条件はどう変わった?
ここでは、まず、経営管理ビザ更新の条件がどう変わったのかを、2025年10月の改正前と改正後を比較しながら確認します。次に、①資本金、②常勤職員、③経歴・学歴、④日本語能力、⑤事業所に関する新しい条件について、順番に見ていきましょう。
改正前と改正後の条件の違い
下の【表】のとおり、2025年(令和7年)10月16日、経営管理ビザ更新の条件(基準・ルール)が大きく変わりました。

なお、すでに経営管理ビザを持っている方には、経過措置(新しいルールに向けて準備するための期間や措置)があります。ですので、次の更新時に、上の【表】の「改正後(2025年10月16日~)の条件」をすべて満たしていなければ直ちに更新できない、という意味ではありません。
この経過措置については、のちほど、「経過措置と更新審査で確認されるポイント」の中で詳しく解説します。
続いて、「改正後の条件」を順番に見ていきましょう。
資本金、常勤職員に関する条件【チェックリスト項目①、②】
チェックリスト項目① | 資本金・出資額に関する新しい条件
経営管理ビザの更新の際には、次の点を見られます。
・会社(法人)の場合;資本金(払込済資本金)または出資金の合計が3,000万円以上あるか
・個人事業主の場合;事業を営むために使ったお金の合計(事業所の確保、設備投資(調理器具の購入費等)、雇った人の給料1年分等の合計)が3,000万円以上あるか
チェックリスト項目② | 常勤職員に関する新しい条件
1名以上の「常勤職員(社員)」を雇っていることが必要となります。
ただし、注意してほしいのは、誰でもこの「常勤職員」になれるわけではない、という点です。
具体的には、次のとおりです。
・項目②の常勤職員としてカウントできる人;日本人、「特別永住者」、「永住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」、「定住者」など(いわゆる身分系の在留資格を持つ外国人)
・項目②の常勤職員としてカウントできない人:「技術・人文知識・国際業務」、「技能」などの就労系の在留資格を持つ外国人や、「留学」、「家族滞在」などの在留資格を持つ外国人
・また、常勤職員として認められるには、「週5日以上・週30時間以上・年間217日以上働いていること」や「直接雇用されていること(派遣社員ではないこと)」などの条件をクリアする必要がある。
経歴・学歴、日本語能力に関する条件【チェックリスト項目③、④】
チェックリスト項目③ | 経営者の経歴・学歴に関する新しい条件
あなたが、次の経歴または学歴を持っていることが必要となります。
・3年以上の事業の経営または管理の実務経験がある
・経営管理や関連する事業分野で「修士(マスター)」相当以上の学位を持っている
なお、あなたが経営管理ビザを3年以上持っており、その間、実際に会社やお店の経営・管理に従事していたことを資料で証明できる場合には、その期間を実務経験として説明できる可能性があります。
チェックリスト項目④ | 日本語能力に関する新しい条件
あなた自身または常勤職員(社員)のどちらかが、「相当程度の日本語能力」を持っていることが必要となります。分かりやすい例では、「日本語能力試験(JLPT)のN2合格」ですが、次に当てはまれば「相当程度の日本語能力」を持っていると認められます。
・JLPTのN2以上、BJTビジネス日本語能力テストで400点以上など
・日本に20年以上、在留している(住んでいる)
・日本の大学などを卒業している または 日本の中学校から高校へと進み卒業している
※ ここでいう「常勤職員(社員)」には、「技術・人文知識・国際業務」等の就労系在留資格を持つ外国人なども含まれます。項目②の「雇用が必要な常勤職員」とは範囲が異なるので注意してください。
事業所に関する条件【チェックリスト項目⑤】
これは、チェックリストの項目⑤「事業所に関する新しい条件」に関するものです。
ビザ更新の際には、事務所(オフィス)やお店の実体も見られます。特に、改正後は原則として、「自宅」と「事務所(オフィス)」を同じ場所にすることはできなくなりました。
具体的には、次のポイントを確認しておきましょう。
・クリアしておくべきこと;事業を実際に行うための独立した事務所(オフィス)が確保され、そのオフィスには事業内容に応じた設備等(デスク、パソコンなど)が備わっている。
・原則として認められない例;自宅をそのまま事務所にする。バーチャルオフィスやペーパーオフィス(実際に仕事をするスペースがない)を事務所にする。
経過措置と更新審査で確認されるポイント
ここまでお読みいただいた方の中には、「新しいルールが厳しすぎて、次の更新までにクリアするなんてムリだ…」と思った方もいるかもしれません。
ですが、すでに経営管理ビザをお持ちの方には、一定の経過措置(新しいルールに向けて準備するための期間や措置)が設けられています。
それでは、この経過措置と、更新審査で見られるポイントについて、詳しく見ていきましょう。
経過措置は2028年10月16日まで【チェックリスト項目⑥】
経過措置とは、「新しいルールに変わったけれど、すぐに新しいルールに対応できない人のために用意された準備期間(猶予期間)」のことです。
なお、2025年10月15日以前から経営管理ビザを持っていた方は、この「経過措置」の対象となります(チェックリストの項目⑥に☑(チェック)できます)。
・たとえば、あなたが2025年10月15日以前から経営管理ビザを持っており、2025年10月16日から2028年10月16日までの間に、そのビザの更新申請をする必要があるケースを考えてみましょう。
・この場合、あなたがその申請のときに、改正後の条件(チェックリスト①~⑤の項目)をクリアできていなかったとしても(資本金3,000万円の準備や常勤職員1名の確保などができなかったとしても)、そのことだけで、すぐに「更新不許可」とはならない、ということです。
つまり、経過措置期間中は、改正後の条件を満たしていないという理由だけで判断されるのではなく、これまでの経営状況なども含めて、総合的に審査されます。
「経過措置の対象なのに更新が認められない場合」があるのはなぜ?
ここで気をつけてほしいことがあります。それは、
「私は経過措置の対象だから、2028年10月までは何もしなくても、ビザは自動的に更新できる」
と思わないでください…ということです。
経過措置の対象であっても、更新が自動的に認められるわけではありません。
具体的には、経過措置期間中(2028年10月16日まで)の更新審査では、
・あなたの会社・お店のこれまでの経営状況・実績
・改正後の条件をクリアする見込みがあるか
などを踏まえて、総合的に判断されます。
そのため、現在は改正後の条件をすべて満たしていない場合でも、「新しい条件を満たすために、今どんな準備をしているのか」を説明できるようにしておくことが大切です。
たとえば、次のようなケースについて説明できるようにしておきましょう。
・「資本金3,000万円以上」の条件をクリアできていないケース ⇒「いつまでに、どのように資本金を増やす予定なのか」を説明できるようにしておく。
・「常勤職員1名以上」の条件をクリアできていないケース ⇒「いつまでに、どのように常勤職員を雇う予定なのか」を説明できるようにしておく。
ただし、更新審査で確認されるのは、こうした「改正後の条件をクリアする見込み」だけではありません。税金・社会保険の支払い状況や事業の継続性など、ほかにも重要なポイントがあります。
続いて見ていきましょう。
税金・社会保険・許認可などの状況【チェックリスト項目⑦】
これは、チェックリストの項目⑦「税金・社会保険料などの支払い状況」に関するものです。
つまり、更新審査では、「あなたが日本のルールを守っているか」も見られるということです。
見られるポイントは、次のとおりです。
・税金を払っているか(会社の税金、あなた個人の税金を、期限どおり払っているか)
・年金や保険に入っているか(年金・健康保険・雇用保険・労災保険などについて、必要な加入手続を行い、保険料等を期限どおり支払っているか)
・必要な許可をとって事業をしているか(例;飲食店などの営業許可は得ているか)
事業実態と継続性【チェックリスト項目⑧】
これは、チェックリストの項目⑧「自分の事業が実際に動いていて、今後も続く見込みがあるか」に関するものです。つまり、「あなたが本当に日本で仕事をしているのか」「あなたの会社やお店が今後も続いていく見込みがあるのか」が確認されます。
また、在留期間中の日本からの出国が合理的な範囲内かどうかも確認されます。
なお、事業が「赤字」の場合や、事業経営を他の人に委託していて日本での活動実績がない場合は、注意が必要です。次のポイントを確認しておきましょう。
・見られる書類;決算書、確定申告書、会社の銀行口座の通帳(お金の動き)
・赤字や債務超過の場合;赤字となった理由や今後の改善見込みなどについて、追加資料や説明を求められる場合がある。
・在留期間中の日本からの出国が「合理的な範囲内」かどうか;長期間日本を離れている場合には、その間も実際に事業の経営・管理を行っていたか、出国に合理的な理由があるかなどを説明できるようにしておく必要がある。
経営管理ビザ更新に向けて今からできる準備
ここからは、あなたが次の更新をスムーズに進められるよう、今からできる準備について、4つのステップで見ていきましょう。現在の状況を確認するところから、必要な資料の準備、更新が難しい場合の対応、専門家への相談まで、順番に説明します。
ステップ1「現在の状況と改正後の条件との差を確認する」
まずは、自分の現状と、改正後の条件(新ルール)との差を確認することから始めましょう。
早めに確認を行うことで、対策をしっかりと立てる時間が生まれます。
具体的には…
・チェックリストで☑がつかなかった項目について、現在の状況と、改正後の条件との差を確認し、必要な対策を考える。
・項目①;資本金が足りない
⇒あといくら必要?
⇒そのお金をどうやって準備する?
・項目②;常勤職員がいない
⇒いつまでに、どのような条件で採用する?
⇒必要な給料はいくら?
・項目④;日本語能力の条件をクリアしていない
⇒どの試験を、いつ受験する?
・項目⑤;自宅と事務所が同じ
⇒いつまでに、どこへ事務所を移す?
ステップ2「事業計画・資金計画を整理し必要な資料をそろえる」
自分の会社やお店の事業計画・資金計画を整理し、更新のときに必要な資料を出せるようにしておきましょう。
具体的には、次の書類等を集めておきましょう。
・必要な資料の例;直近の決算書、納税証明書、社会保険料の領収書、オフィスの賃貸契約書など
⇒書類の不備や、税金・社会保険料などの払い忘れがないかを確認。問題がある場合は早めに対応する。
ステップ3「更新が難しい場合の対応」(家族への影響を確認しつつ、他の在留資格を検討)
「改正後の条件をクリアするのは難しい」…そんな場合は、手遅れになる前に、他のビザ(在留資格)への変更も検討しましょう。
ただし、ご家族がいらっしゃる方は、あなたがビザを変更した場合、ご家族のビザ(家族滞在)に影響が出ないか、十分に確認するようにしてください。
・在留資格「技術・人文知識・国際業務」への変更;今の会社やお店の経営をやめ、別の会社で会社員として働く。この在留資格なら、一定の要件の下、ご家族も「家族滞在」ビザの対象となり得る。
・在留資格「特定技能(1号)」への変更;この在留資格の場合、原則として、家族帯同が認められないため、ご家族のビザへの影響を十分確認することが必要。
ステップ4「専門家への相談を検討する」
在留資格のルールは非常に複雑です。そのため、一人ひとりの状況によって、判断が分かれる場合も少なくありません。
ご自身やご家族のビザを更新できるか不安な方、どこから準備を始めたらいいか分からない方は、ビザ(在留資格)の専門家である弁護士や申請取次行政書士などに相談することをおすすめします。
まとめ
この記事では2025年改正後の経営管理ビザ更新の条件と、今からできる準備について解説しました。
経営管理ビザを更新できるかどうかは、一人ひとりの会社の経営状況や準備の状況によって変わります。
だからこそ、経過措置の期間を活用し、早めに現状を確認して準備を進めることが大切です。
資本金3,000万円や常勤職員の雇用など、新たな対応が必要となるルールが増えたことは確かです。
ですが、ルールが変更になって戸惑っているのはあなただけではありません。
ひとりで悩まず、当事務所にご相談ください。
当事務所では、あなたの現在の状況を丁寧にお伺いした上で、ご家族への影響も考えながら、あなたに合った更新スケジュールと必要な準備を一緒に考えます。
